二十年目の初恋
二人 2
「そんなこと分かってるよ。でも、もしもあの日、同窓会の日。優華の離婚が成立してなくても、俺は優華を愛したと思う。抱いてたと思う」

「悠介……」

「不倫が良いことだとは思ってないよ。でも、あの日の優華を放っておけなかった。お前、精一杯強がってたけど俺には分かった。寂しかったんだろう? たとえ俺にだって、あんなこと普段の優華なら言わないだろう」

「悠介だから言えたの。他の人にあんなこと言わないよ」

「分かってるよ。優華に言われなくても、あの日はホテルのバーにでも誘って酔わせて部屋を取って、一晩中、優華の傍に居るつもりだった」

「えっ? 酔わせて? 襲うつもりだったの?」

「襲うなんて人聞き悪いな。酔っぱらってる女を抱く趣味はないよ。優華の寝顔を一晩中でも眺めていようと思ってた」

「じゃあ、悠介のオモウツボだったんだ。私……」

「違うよ。こうなる運命だったんだよ。優華と俺は」

「運命か。そうなら最初から悠介の傍に居たかった」

「それを言うなよ。俺、思いっきり後悔してるんだから」

「何を?」

「駄目でも何でも、優華に告白すれば良かったって」

「じゃあ、今、告白して」

「えっ? 今? 何か照れるな……。じゃあ、十代の頃、言えなかった告白もするよ。優華、俺、優華のことずっと好きだった。小さい頃から優華だけを見て来た。可愛かった優華が綺麗になって、他の奴に告白されてるのを遠くで見てた。もう俺だけの優華じゃないんだって思ってた。だけど諦めきれない。やっぱり優華が好きだ。優華、愛してる。俺は優華を泣かせるようなことはしない。約束する。大切にするから俺の傍に居てくれないか? 優華だけを生涯愛して生きていきたい」

「……。悠介、ありがとう。私も悠介の傍に居たい」


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