二十年目の初恋
二人 8
 悠介のキスで体中が甘く痺れ出して……。私が私でなくなる。

 浴衣を肌蹴られ露わになった胸に悠介の唇と舌の、くすぐったい感触が……。手と指先の動きが、私の全てを支配する。

 愛しくて狂おしくて、知らなかった感覚が足の先まで伝わって、別の私が声にならない声で叫び出す。期待と不安で苦しくて息が出来ない……。頭の中が真っ白になって私は意識を手放した。


 目覚めた時、悠介の腕の中。心配そうな悠介の顔。

「大丈夫か?」

「大丈夫じゃなくしたの、悠介でしょう?」

「浴衣の優華が堪らなくて、色っぽさに負けたよ」

「色気なんてないよ。私」

「そんなことないよ。こんないい女、どこにもいない。肌のキメが細かくて滑らかな白い肌は吸い込まれそうだ。その上、敏感で感度は最高だし、抱いてても夢中になって、つい限度を超えてしまう。もっと悦びを教えたい。もっと感じさせたい。そう思う。最高にいい女だよ。俺が言うんだから間違いない」

「ばか……。恥ずかしいこと言わないで。ねぇ、悠介、お風呂入りたい」

「大丈夫か? 今、入って」

「悠介が居るから大丈夫」

「じゃあ、露天風呂に入るか?」

「うん」


 愛し合った後、二人とも何も身に着けていない。そのまま悠介はタオルだけ持って、私はバスタオルを巻いた姿で露天風呂に入った。もちろん入る前にバスタオルは外して。


 温泉だけあって、お湯はもちろん豊富なんだろう。新しいお湯が途切れることなく流れて来て気持ちいい。温度も少し低目で、いつまででも入って居られそうなくらい。

「優華、ここへおいで。俺の膝の上に。また気を失ったら溺れるぞ」

 溺れる? 泳げない私は水は苦手。

 仕方なく横向きに悠介の膝の上。でも、お湯から胸が出てしまう。タオルで隠していたら

「隠さなくても誰にも見えないよ。俺だけにしか」

 悠介の両腕がウエストに回って肩にキスされた。


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