二十年目の初恋
愛される資格 7
食べ終わって……。
「あぁ俺、片付けるよ。お皿とカップだけだし。優華、早起きして作ってくれたんだろう。これくらいしないとな」
「ありがとう。これから後片付けは悠介の担当にして貰おうかな ? 平日はまだどうなるか分からないけど……。お休みの日は私が作って悠介が片付ける。どう ?」
「いいよ。美味しい料理を作って貰うんだから。せめて後片付けくらいするよ」
悠介のそういうところ好きよ。声には出して言わないけど……。
「さぁ、じゃあ行くか。優華のマンション」
片付け終わって悠介が言った。
「うん。ごめんね。せっかくのお休みなのに、引っ越し手伝わせて」
「ば~か。好きでやってるんだから気にするな」
私のマンションの部屋に着いて残りの片付けと掃除。午後からリサイクルショップの人が来てくれる。トラックで。もう必要ではない家具や電化製品を引き取りに。
「綺麗ですね。新品同様ですよ。お高く買わせて貰います」
すごく良心的なショップで、それなりの金額になった。全部運び出されると急に部屋が広く感じる。後は来週、悠介のマンションに運ぶ荷物だけ。
この部屋で半年、一人で生活して来たんだ。これからは、ずっと一人なんだ。そう覚悟を決めて。何度泣いたか分からない。でももう昔話だよね……。
「優華、どうかした ?」
「ううん。どうもしないよ」
悠介は、そっと私を抱きしめて
「辛かった思いや涙は、みんな置いて行け。これからは俺の傍で笑ってろ。いいな」
「うん」
それ以上、何も言えなかった。悠介の気持ちが嬉しくて……。
「ところで腹減らない ? もう三時過ぎてるよ。そこにコンビニあったよな ? 何か買って来るよ。優華、何がいい ?」
「じゃあ、おにぎり。ツナマヨとメンタイコ」
「分かった。行って来る」
笑って生きて行けそうな気がしてきた。
家具もなくなってガラ~ンとした部屋で床に座ってピクニックみたいな遅い昼食。
「そこのコンビニ、結構、広いんだな。色んな物が置いてあった」
「でしょう ? 助かってたんだ」
「優華、明日から通勤、ちょっと遠くなったな」
「大丈夫よ。同じ路線だし停留所で二つ遠いだけよ」
「さて後は来週、引っ越し屋さんが運んでくれて全て完了だな」