二十年目の初恋
引っ越し 2
「うん。悠介の言うこと良く分かるよ。秘書になってからは余計にちゃんとしないとってガチガチになってたところ確かにあるから。でも、これって私の性格だし直せって言われても、そんなに簡単には……」
「直せとは言ってないよ。それって優華のすごく良いところでもある訳だし。仕事でいいかげんなのは困るだろ ? でも休みの日とか別に朝食摂らなくても、どうってことないだろ ? たとえば今朝は何にも無いからファミレス行こうっていうのも有りだと思うけどな。もっと甘えていいよ。完璧じゃなくていいんだよ。その方が俺は嬉しかったりするかも……」
「うん。そうなんだ。私って、そういうところ、きっと可愛くないんだよね」
「そんなことないよ。優華は最高に可愛い女だ。俺が保証する」
「完璧でありたいって思うからよね。もう少し、のんびりしてみる。これから少しずつ」
「うん。優華はそれくらいでちょうど良いんだよ」
「他に何か私に注文ある ? ついでだから全部言って」
「他に ? う~ん。そうだな……。もっと……セクシーな下着を着けて欲しい」
「えっ ? ばか。もう悠介……」
悠介は一人で楽しそうに笑ってた……。
マンションに着いて……。もう荷物は運んで貰うだけになっている。
半年しか住んでいなかったし仕事をしてたし、この部屋に居た時間は短かったけど。
一人で探して見付けた部屋。身の回りの物を日にち時間指定で送って自分で受け取って。家を出る準備をしてた頃……。
子供もいない。主人は仕事で、いつも帰りは遅い。夕食を一緒に食べた記憶もあまり無い。たまに早く帰って来ても気に入らない食事には手も付けない。
あの頃、主人は……。日曜日でも仕事だ得意先との付き合いだといつも家に居なかった。私は家に居ても一人だった。
愛人の存在を知って家を出ようと決めた。その頃には、もう主人に対する愛情の欠片も残っていなかった。一緒に居る意味が見出せなかった。