二十年目の初恋
休日 3
「実はね。貴方たちが子供の頃に二人を許婚にしようかって四人で話したのよ。でも親が勝手に決めて反抗的になられたら、せっかく仲も良いし相性も良さそうなのに二人の負担になるかもしれないからって諦めたの。だから本当に嬉しいのよ。いつかこんな日が来てくれたらって思ってたの」
「知らなかったよ。そんなことがあったなんて。なぁ優華」
「私も初めて聞きました」
「この前、同窓会の次の日に優華ちゃんを車に乗せて寄ってくれたでしょう ? もしかしたらって期待してたのよ。きっと運命だったのよね。貴方たち二人は……」
それから、しばらく話していたら
「こんにちは」
どこかで聞いた声。お母さん ? そのまま部屋に入って来た。
「どうしたの ?」思わず聞いた。
「みんなで、ご飯、食べようって話になってたの」
「えっ ? そうなの ? 何も言ってなかったじゃない」
「貴方たちから電話があった時、両方の家に二人で来るって。もうそれでピンと来たから。きっと良いお話だと思ってね」
「そうよ、優華ちゃん。何を作ろうかって二人で相談したんだから。すごく楽しみにしてたのよ」
「おばさん、ありがとう。お母さんも……」
「あんたの好きな、ちらし寿司を作ったのよ。久しぶりに朝から楽しかったわ」
「本当よね。私も朝から鶏のから揚げを作って何だか幸せだったわ」
「きょうは、ゆっくりして行けるんだろう ? 久しぶりに飲もう。なぁ悠介」
「あぁ、そうするよ」
悠介、すっかり息子の顔になってる。
「優華ちゃん、手伝って」
「はい」
キッチンに行って驚いた。から揚げだけじゃなくて……。ブリの照り焼き、エビフライ、サラダ、酢の物、etc
「あっ、ねぇ、お父さんは ?」
「魚屋さんに鯛のお造りを取りに行って貰ってるのよ」
「後は、お吸い物を作るだけね」
たくさんのお料理が並んで、本当に久しぶりに六人で楽しく食事した。ビールも美味しくて飲んで食べて、私たちの子供の頃の話や昔話で盛り上がって。
悠介と私が結婚したら親戚になるのよね。もう既に親戚付き合いみたいなものだったけど……。