二十年目の初恋
休日 6
お互い子供の頃から良く知っている家族同士。でも結婚の承諾を得るために出掛けたきょうは、いつもとは違って、それなりに緊張もしていたのか緊張から解放された安堵感からか二人は熟睡していた。
眠りの中でも少しでも離れていたくない気持ちからなのだろう。二人は抱き合ったままで……。
ようやく目が覚めたのは随分遅めの朝だった。先に目を覚ましたのは私。眠っている間にも悠介にしっかり抱きしめられていることに愛されることの悦びを幸せを心から感じていた。
悠介は良く眠っている。きっと疲れたんだよね。結婚の意思をそれぞれの両親に、はっきり伝えてくれた悠介をとても頼もしく男らしく素敵に思う。
何があっても悠介の傍に居よう。どんなことがあっても一緒に生きて行こうと改めて思った。
昨夜……。悠介に体の隅々まで愛されて……。思い出すだけでも体が火照ってきそう。悠介の腕の中で、あんなに乱されて……。たぶん私は今、恥ずかしさに頬を紅く染めているんだろう……。
悠介が目を覚ました。
「どうした? 朝から紅い顔して。熱でもあるのか? 夏風邪でもひいた?」
「悠介のばか。知らない……」
私はちょっとだけ拗ねて悠介に背を向けた。
「優華」
昨夜の悠介のように耳元で甘く囁く。後ろから、ぴったり寄り添って抱きしめられて胸をそっとつかまれた……。
「悠介、駄目……」
「何で? 声が出ちゃうから? いいよ。昨夜みたいに可愛い声を聞きたい」
結局……朝から私は……悠介の腕の中で……悠介の言うところの……可愛い声が出てしまう状況に陥ってしまっていた。
しばらく動けないでいる私に考えられないくらい元気な悠介は
「きょうは朝ご飯、俺が作るよ。優華はもう少し寝てていいよ」
まるで少年のような笑顔で言うとキッチンへと消えた。
悠介に抱かれた後の気だるさに身を任せているのが好き。悠介に抱かれている時の素直な私が好き。自分の気持ちに正直になれるから。本当の私を見せられるから。