明日の君と


私と朝日奈君は空港で各々お土産を買って帰りの飛行機に乗り込んだ。

「まだ明日も明後日も休みですね。あぁ~連休明けから社会復帰できるのか不安になっちゃいますよ」

朝日奈君は大きな伸びをしながら言った。

「社会復帰っていっても、朝日奈君、まだ社会人になってひと月しかたってないじゃない」

「あぁ、そりゃそうですね。生意気言ってすみません」

「あっ、また『すみません』使ったね」

そう言って私は笑った。
朝日奈君もつられて笑っていた。

いつ以来だろう。
男の人とふたりでこんなに長い時間笑って過ごしたのは。
武田君とはずいぶん一緒にいたけど、香奈も必ず一緒だったし。
高松に帰ってきてからは、誘いがあっても断り続けていたし。
そう考えると、一也、アナタと一緒だった頃以来なのかな?
怒ってないよね?一也。
決して、アナタのことは忘れないから。
いいよね、一也。
私が、私の人生の次の一歩を踏み出しても。

隣の座席の朝日奈君は窓から差し込む眩しい光をものともせず、既に寝息をたてている。
彼を見て不意に思った。

この人なら私の不安定な気持ちを受け止めてくれるかしら?
どうしたんだろう、私、なんで彼を?
で、でも、いつか、きっと、私、誰かを、好きになってみせるよ、一也。
その時は、喜んでくれるよね、一也?

飛行機はあと20分程で高松に到着するとのことだ。
香奈や武田君達も今頃はタヒチ行きの飛行機の中かしら?
それとも、もう到着してるのかな?
ありがとうね、香奈、武田君、アナタ達の姿を見て、私も今の自分から抜け出さなきゃって思えるようになったよ。
これからもお幸せにね。

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