明日の君と



翌日、ボクは気持ちが晴れぬまま病院に中野さんの見舞いに向かった。
行きしな、途中の花屋で一束の花を買った。
病室に入ると里沙さんがすでに来ていた。
昨夜のことをどう感じているのかその仕草からはわからなかった。
中野さんは半身を起こして座っていた。

「はい、これ」

中野さんに花を渡した。

「ありがとうね、イツキ。なんか色々迷惑かけちゃったようで」

いつになく中野さんはおとなしかった。
まぁ、病院で騒げるヤツなんてのはいないか。

「気にしないで早くよくなって、またバカやりましょうよ。う~ん、でもなんか今みたいにおとなしい中野さんてのもオツですな」

「イツキ、退院したら覚えておけよ、コノヤロー。イテテ」

「大丈夫?」

里沙さんが心配して顔を覗き込んだ。

「大丈夫、大丈夫、それよりイツキ、わたしゃこの通り身動き不便だから、アンタ、入院中わたしの下僕として働きなさい」

そんな中野さんの言葉に、

「かしこまりました、女王様。シモの世話なり、お着替えなり、体拭きなり、なんなりとお申し付けくださいませ」

ボクは恭しく頭をさげて答えた。

「イツキ、あんた、MかとおもってたらSのようね」

それを聞いて里沙さんは吹き出した。

里沙さんはこんな3人の空気を大切にしたいのかな?

そうすることで彼女の心を癒すことができるなら、ボクは、でも………


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