明日の君と


中野さんの入院から4日目、ボクは漫画を差し入れに再びお見舞いに向かった。
病室には上品な感じの女性が中野さんと話をしていた。

ボクに気付いて中野さんは

「イツキ、またきてくれたんだぁ。ありがとう」

と、パッと花が咲いたような、とても嬉しそうな笑顔を見せた。

「お母さん、彼が武田樹君。さっきまでいた里沙と一緒にね、色々入院の時にお世話になったの」

なんだぁ、里沙さんさっきまでいたんだ。
ちと残念。

「香奈が大変お世話になりました。本当にありがとうございます。私達、香奈を日本に残して海外で生活してるもので、本当に助かりました」

お母さんは深々頭を下げお礼をしてきた。

「いえ、ボクこそ学校では香奈さんに色々お世話になってますんで、あまり気になさらないでください」

「本当にありがとう」

「いえいえ」

「ちょっと二人ともなにお礼合戦してるのよ」

お礼合戦という変な言葉にボクたち3人は吹き出した。
で、お約束で中野さんは、イテテと腹を押さえた。

「香奈が退院する頃には主人も戻ってきますから、七尾さんも呼んでお食事でもしましょうね」

「イツキも絶対来るのよ!」

「よろしいんですか?」

「香奈の快気祝いとお世話になった七尾さんと武田さんにお礼したいので、ぜひいらしてください」

家族といると中野さん嬉しそうだな。
やはり寂しかったんだろう。

「わかりました。お邪魔させていただきます」

ボクは普段あまり見ることの出来ない子供っぽい中野さんが見れて、ナゼか微笑んでいた。


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