明日の君と


「イツキ、アンタの卒業アルバム見せてよ」

香奈さんはタレ目を輝かせながら言った。
里沙さんも興味津々といった眼差しをしている。
ボクは隠す理由も無いので卒業アルバムを引っ張り出した。

「ほう、イツキ凛々しいじゃない。初々しいってか、かわいいネ。んで、どの娘が元カノなんだい?」

ニヤニヤしながら香奈さんはボク言った。
オイッ、それが目的か?

「教えませんよ。そんなん」

里沙さんは懐かしそうに綾ちゃんだ、光雄君もいる、由里ちゃんだ、と小学校時代の友達を見つけてははしゃいでいる。

「みんな大人になったっしょ。でも、一番変身したのは里沙さんだな。なんせハナタレで男みたいだったんだから」

ボクは笑いながら里沙さんに言った。

「武田君ひどぉい」

里沙さんは柔らかそうな唇を尖らして拗ねたフリをした。
その時突然

「あっ、イツキ、この子でしょ」

と、香奈さんがボクの写真の隣を指差した。
彼女の指先には竹下麻貴子と名前の書かれた女子が微笑む写真があった。

「アヒッ、な、なんでわかったの?」

ボクは動転してつい答えてしまった。

「やっぱりネ。集合写真や他の写真でも必ずイツキの隣にいるし。ふぅん、かわいい娘だネぇ。やるねぇ、アンタも」

ニヤニヤしながらオバサンみたいな表情で香奈さんはボクをつついて冷やかした。
里沙さんも、まぁ、みたいな表情をして微笑んでいる。

「ボクぁ、フられたんすよ。悲しいこと思い出させないでくださいよ」

麻貴子かぁ。
出来ることならこっちにいるうちに一度会っておきたいなぁ。
やっぱり、きちんとサヨナラとアリガトウを伝えるておきたいし。

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