明日の君と


ボクは店長に里沙さんと香奈さんを大学の先輩だと紹介した。

「ほぅ、武田君の先輩かぁ、ふたりとも、武田君はね、こう見えてムッツリスケベだから気をつけてね」

店長はカラカラ笑いながら言った。

すると香奈さんがすかさず

「店長さん、イツキね、ムッツリの上にすごくSなんですよ!」

と言った。

「な、なに言ってんスか、ふたりして。ひ、ひどい言いようじゃないですか。て、店長こそ、親子程歳の離れた若い奥さんもらってるくせに!」

「バイト君、そりゃオレの男の魅力のなせる技なんだよ。スケベだなんだとは関係ないのさ。悔しければもっと男を磨きたまえ」

店長は勝ち誇って言った。
もちろん冗談とわかるようにだが。

「まぁ、でも武田君は真面目で誠実なとこもあるから、あと2年もすりゃイイ男になるよ、きっと。うん」

店長はフォローも冗談めかしていた。

「武田君、頑張ってね」

里沙さんが笑いながら励ましてくれた。

「あぁ、ホント里沙さんは優しいなぁ、こっちのふたりとは大違いですよ」

ボクはワザと憎々しく吐き捨てた。
すると香奈さんの手が伸びてきて

「ほほぅ、そんな生意気なことを言うのはこの口か?エェ?この口か?」

と、ボクの頬を引っ張って言った。

「香奈ひゃん、やめへくひゃひゃい」

「あぁ、お取り込み中申し訳ないけど、おふたりさん、そろそろ注文とってよろしいですかね?」

店長はまた助け舟を出してくれた。
里沙さんからアイスレモンティー、香奈さんからはアイスカフェオレの注文を受けてボクと店長はカウンター内に戻った。
そして店長はボクに小声で言った。

「それにしても、オマエもう、尻に敷かれてんだな」

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