明日の君と
ボクは香奈さんの言葉に甘え、雨が落ち着くまで家で待たせてもらうことにした。
「イツキ、上がる前に靴下脱いでね。う~ん、シャワー浴びてったら?その間に乾燥機かけてあげるから、乾くまでお父さんの服着てて」
香奈さんは二階に上がって男物の短パンとTシャツをとってきた。
「ちょっとイツキにはちっちゃいかも。ま、無いよりましね。靴下とパンツは適当に水道で洗って乾燥機に入れて30分にセットしといて。ジーンズとTシャツは一回洗うから脱いだら洗濯機に入れといてちょうだい」
そういって香奈さんは風呂場に案内してくれた。
「すいません、じゃあ、シャワーお借ります」
ボクはすっかり恐縮してしまった。
「私、部屋で着替えてくるからゆっくりどうぞ」
香奈さんはニコッと微笑んで脱衣場を出ていった。
ボクは言われたとおりジーンズとTシャツは洗濯機に突っ込んで、靴下とパンツは適当に手もみ洗いして乾燥機に入れてスイッチを入れた。
風呂場に入りシャワーを頭から浴びた。
体中に張り付いたTシャツやジーンズのイヤな感触から解放されとりあえずホッとした。
風呂場から出て乾燥機を止め生乾きだったがパンツを取り出してはいた。
コレはしょうがない、靴下はもう乾いていたが帰る直前に履くことにしよう。
借りたお父さんの短パンをはいてみた。
コレは大丈夫だったがTシャツは肩幅が無理だった。
破いても悪いのでバスタオルを肩にかけて脱衣場をでた。
「香奈さん、シャワーありがとうございました」
「あら?Tシャツちっちゃかった?ゴメン」
「いや、こちらこそ、デカくてすみません」
「じゃあ、私もシャワー浴びるから。居間にコーヒーいれてあるからそれ飲んで待ってて。それと、覗いちゃダ・メ・よ」
香奈さんは笑って脱衣場に入って行った。
ボクは居間に行っていれてあったコーヒーをいただいた。
インスタントコーヒーのようだったがこの上なく美味しく感じた。
立派な家だな。
都下とはいえ庭もある一戸建てで、でも、香奈さんが1人で住むには広すぎるな。
寂しいんだろうな。
ふとそんなことを考えていた。
ボクも上京して半年、あの狭い部屋に帰った時でさえ寂しく思うことがある。
ましてこんな大きな家だと尚更なんだろうな。