明日の君と



ボクは近くの店でワカサギフライ定食を食べたり、溶岩の岩盤の上を散策したり、透明度の高い水の中に小魚を見つけたりしながらこの湖の美しさを堪能していた。
ただ残念なことに岸際にはペットボトルなどのゴミが打ち上げられているのも目に入った。
人間のワガママでこの自然を汚して破壊してはいけない。
テレビなどでよく耳にするこの言葉は今はすんなりと聞き入れることができた。
とりあえず目についた缶やペットボトルを拾いあげ、近くのボート屋のゴミ箱に捨てさせてもらった。
午後になると富士山の吹き下ろしがますます強くなり肌寒さを感じたので、とりあえず家に帰ることにした。
明日からはまた大学行かないとな、気分も少しはスッキリしたかな?
帰り道にはそんなことを考える余裕も少しはできていた。

ただ、香奈さんのことは、もう少し、自分の気持ちを整理するには時間がかかるだろうな。
そういえば、今日も何度か電話がかかってきていたな。
だけど、話すことなんてボクからはもうなにもないよ。

アパートに着く頃には辺りは少し薄暗くなっていた。
ボクはバイクを止め部屋に戻ろうとして驚いた。
ボクの部屋の玄関に誰か寄りかかって座っている。
香奈さん、なのか?
香奈さんはボクを認めるや否や凄い剣幕で食ってかかってきた。

「イツキ!アンタどこ行ってたのよ!電話してもメールしても全然返事しないし!」



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