明日の君と
「やぁ、香奈ちゃん、いらっしゃい。ん?武田君、体調は良くなったか?」
鈴木店長は声をかけてきた。
「それにしても、同伴出勤とは、エラくなったもんだなぁ、バイト君」
「て、店長、なに言ってるんスカ。ったくもう」
ボクは慌てながらスタッフルームに着替えに入った。
ボクが店内に戻ると香奈さんはボクを呼んだ。
「イツキ、今夜うちにこない?里沙も呼ぼうかと思うんだけど、3人でちょっと話したいんだ。あっ、あとカフェオレひとつね」
「かしこまりました。カフェオレおひとつですね」
ボクは右目だけを瞑って
「バイト終わったらすぐ向かいますよ」
と小声で彼女に伝えた。
「香奈ちゃん、あのさぁ、徳元さんが香奈ちゃんにモデル頼みたいってさ」
店長が突然ボクらの間に割って入ってきた。
「えぇ~、モデル?でも、私ぃ〜、ヌードモデルは困りますぅ」
香奈さんは笑いながら答えた。
「ちゃうちゃう、ここに座ってるだけでいいってさ。ねぇ、徳元さん」
店長は徳元さんに同意を求めていた。
「お願い出来ませんかね。あと、ついでと言ってはアレだがバイト君も一緒にねお願いできんかな?なんか君達ふたり、とても仲良さそうだしね」
徳元さんはニコニコしながら言った。
「えっ?イツキと一緒に?う~ん、そうね、その方が私の美しさが際立つか。いいですよ徳元さん。ねっ?イツキ」
「えぇ、どうせボクは引き立て役の似合うブサイクでげすよ」
椅子に香奈さんを座らせ、その後ろにボクが立つといった格好でボクらは徳元さんのモデルをつとめた。