明日の君と



なんだか、考えても及ばない偶然てあるんだな。
ボクがひと目惚れした里沙さんは、ボクの小学校の頃の同級生の神崎だった。
一浪君のボクと違って現役合格だから今は先輩だけど。

確か神崎は小学校の2年の夏休みの終わる頃、清里から引っ越していった。
その理由を当時のボクは知らなかったのだが、里沙さんの両親の離婚が理由だったそうだ。
里沙さんの話によると母親と一緒に四国の祖父母の家に戻っていたらしい。
香川で林業の会社を営む祖父母はそれなりに裕福だったそうだ。
両親の離婚は子供には酷だっただろうが、今の里沙さんを見る限り、変な道に踏み外すこともなくまっすぐ育ったようだ。
それにしてもあのハナタレも大人になるとこんなに美人に変わるもんなんだな。
というより変身だね、あれは。
文字通りオンナはバケるものなんだな。

ボクは里沙さんからどう見えたのだろう?

あの頃のような田舎のバカガキにはさすがに見えないだろうが、田舎くさいのは抜けてないからな。

なんか複雑というか、不思議というか、懐かしいというか、様々な感情が沸き起こってきた。
自分がガキの頃、屁とも思っていなかったハナタレ神崎に12年経って再会し、一発で一目惚れするなんてな。
まぁでも、これでとりあえず、入学早々の傷心からは立ち直れそうだ。




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