明日の君と
やっと、イツキとふたりっきりになれた。
「イツキ、ご飯食べる?それとも、お風呂先に入る?あと、このセリフ1回言ってみたかったんだ」
そう言って、私は彼にウィンクをしながら続けた。
「それともワ・タ・シ?」
イツキは真剣な顔で吹き出した。
そして腹を抱えて大笑いした。
私もそんな彼の爆笑を見てつられて大笑いした。
イツキは息をヒクヒクさせながら言った。
「いやぁ、そんな古典的なセリフがでるとは!」
そしてわざとらしくイヤらしい舌なめずりをしながら続けた。
「じゃあ、香奈さんからいただきまぁ~す」
私は飛びかかってきたイツキを軽くいなして、舌を出して言ってやった。
「ダ~メ」
そして、軽く彼のほっぺたにキスしてあげた。
「今はここまで。さぁ、ご飯にしましょ!アンタのために香奈さん特製ミートソースパスタ作ったんだから」
イツキは盛り付けられた私自慢のミートソースパスタをまじまじと眺めながら言った。
「これ、ホントに香奈さんが作ったの?マジ美味そうじゃん」
「どうだ、イツキ君、かつて黒こげのハンバーグを作っていた香奈さんとは違うのだよ」
私は胸を張って彼に言った。
彼はひと口目を飲み込んだあと、顔を上げて言った。
「ホント美味い。トマト入ってるけど、ボク、食えるよ、コレなら」
「そうだろ、そうだろ、なんといっても私の愛のスパイスが効いてますからな!」
イツキは変な顔をしながら私を見た。
「香奈さん、そんな変なセリフばっかり言うキャラだったっけ?」
私は彼の言葉に少し恥ずかしくなった。
だって、しょうがないじゃない。
久しぶりにアンタに会って、嬉しくてテンションあがってるんだからさ。