明日の君と
朝日奈君を含め、私達は4人で近くのこじゃれた居酒屋に入った。
「武田君、香奈、あらためて、おめでとう」
私の言葉で乾杯した。
「ねぇ、里沙、今年の夏に休みとれたらイツキの実家にこない?」
「清里の?」
「そう。ねぇ、イツキ、いいわよね?」
「いいよ。お義父さん達もごも招待した方がいいかな?」
「朝日奈君、武田君の実家ね、清里でペンションやってるのよ。」
朝日奈君が蚊帳の外にならないように私は彼に声をかけた。
「清里って山梨の?」
朝日奈君は興味深く聞いてきた。
「そう。実は私もね、子供の頃、清里に住んでたの。でね、武田君とは小学校の同級生だったんだ」
「へぇ、それで武田さんとは大学でも同級生だったんですね」
彼は私達の繋がりを理解しようとしていた。
「でもお恥ずかしい話、実はボク浪人だったんで大学では微妙に里沙さんとは同級生じゃなかったんスよ。つか、ボクは後輩」
武田君が笑いながら話した。
「しかも、里沙さんね、小学校の頃は目も当てられないようなハナタレだったのに、大学で再会したらすっげえ美人になってたもんで、最初はボク、全然気付かなかったんスよ」
武田君はペロリと舌を出しながら笑った。
朝日奈君も応えて笑っていた。
「ヒドいわね。ふたりとも、朝日奈君、会社に帰ったら、覚えておきなさい」
「まぁ、里沙、目がマジよ。コワいコワい。ところで、朝日奈さん、里沙って会社でどうなの?」
香奈は朝日奈君に尋ねた。
「七尾さんは、社のアイドルですよ
」
彼は笑って答えた。
「うちの会社の7不思議の1つなんスよ。七尾さんに彼氏がいないってこと」
何気なく言った朝日奈君の言葉に香奈と武田君は目を合わせて一瞬、マズいこと聞いたかなって顔をした。