クリスマスにフランちゃんがやって来た
私はフランちゃん
12月23日 ~16時から20時~
フランちゃんは、店の前に作られた特設コーナーの前に立たされた。
店長は、フランちゃんに期待を込めて、ケーキを多めに準備している。
まだ、夕方の明るい時間帯のフランちゃんは、チラシを手に持ち、道行く人に配るのが仕事だった。
店長から、フランちゃんは喋ってもいいからねと言われていたために、私は、小さな子供たちに、可愛らしい動作と言葉で話しかけた。
「ここのお店のケーキ、美味しいよ」とか、
「買ってくれたら嬉しいな」とか・・・
思いのほか、喋るフランちゃんは好評だった。
着ぐるみの中は思ったより暑かったが、フランちゃんを触りにくる子供達を見て、少し癒された。
夜になると、カップルが急激に増えた。
若い子達は、フランちゃんを見ると、みんな笑う・・・
クリスマスなのに、中に入っている人、可哀想みたいな顔をして・・・
それでもめげないフランちゃんは、お店の売り上げのために愛嬌を振りまいて頑張った。
すると、フランちゃんの目の前を、見覚えのある顔の男の人が横切った。
純平だった。
純平は小走りで、胡桃の働くケーキ屋へ入って行った。