ラブ&ロイド
昼休み。

「五嶋君」
「はい」

颯が先生に呼ばれ、廊下に出る。するとその瞬間、私、愛、蛍、葵を除く全ての女子が颯を追って廊下に出た。

「ね?」

こうなることは愛がすでに予測してくれていた。…さすがケータイ小説愛読者、こうなった場合の次の展開が分かってる…。

「この間に私達は作戦会議、っと…」

蛍がお弁当を広げる。

「まぁ、作戦会議なんてしなくても私達が一歩リードしてるんじゃない? 『颯って呼んでいい』って言ってくれたし」
「他の子には言ってないだろうしね」

私が颯と一緒に住んでいるなんてことがバレたら、一瞬にして仲間外れにされる。女子は同族の恋愛を恨むと、何かに書いてあった。

だから私は、嘘をつく。

「それにしても、私達ラッキーだよね」
「ん? 葵、どういうこと?」
「不謹慎かもしれないけど、零泉が不登校になったからそこに颯くんが座ることになったから」
「確かにそうかもね…」
「誰だ、その零泉って?」

いつの間にか、後ろに颯がいた。

「あっ、颯くん…」

蛍の顔がみるみる内に赤くなる。

「あっ、えっと…颯が座ってる席に座ってた零泉翔(レイゼン・ショウ)って奴で、ちょっと前から学校に来なくなったの」
「…そうか…」

黙っているのも不自然な気がした私には、零泉の説明しか手段が思い浮かばなかった。ひとまずは難を逃れたわけだけど…二人だけの秘密を、果たしてどれだけ守れるのだろうか?

そんな思いは渦巻いていたが、とにもかくにも、ここから颯と私の共同生活が始まったわけだ。
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