ラブ&ロイド
放課後。
私が荷物を片付け終わった頃には、蛍も葵も、もう帰っていた。いつもなら、帰る時はいつも一緒なのに。
「じゃあ、帰るね。今日部活ないし」
颯にそう言うと、私は教室を出た。別に一緒に帰るのが不都合だとか、そういうのじゃない。
「愛」
颯の言った通り、愛を慰めてあげられるのは私しかいない。そう思ったからだ。階段を下りる愛に声をかける。
「結…」
愛の目は、思っていたほどは潤んでいなかった。少しだけ、ホッとした。
「あ、えっと…」
しかしいざ慰めようと意気込むと、何も言葉が浮かんでこなかった。階段を下りて行く足音が、焦らせる。
「結、これから時間ある?」
意外なことに、愛の方から話題を振って来た。
「えっ? …あ、うん、大丈夫、だけど…」
その言葉が唐突過ぎて、答えが細切れになる。
「ちょっと、一緒に行きたい所があるの」
「行きたい所…?」
「うん。…零泉に片思いしてた頃に、零泉とよく行った喫茶店。『ドールドルチェ』って所なんだけど…知ってる?」
「…うん、まぁ…ね…」
愛が自分の傷をえぐってしまわないかと、不安で仕方なかった。わざわざそんな所に私と二人で行きたいと言った愛の気持ちが、この時の私には全く分からなかった。
私が荷物を片付け終わった頃には、蛍も葵も、もう帰っていた。いつもなら、帰る時はいつも一緒なのに。
「じゃあ、帰るね。今日部活ないし」
颯にそう言うと、私は教室を出た。別に一緒に帰るのが不都合だとか、そういうのじゃない。
「愛」
颯の言った通り、愛を慰めてあげられるのは私しかいない。そう思ったからだ。階段を下りる愛に声をかける。
「結…」
愛の目は、思っていたほどは潤んでいなかった。少しだけ、ホッとした。
「あ、えっと…」
しかしいざ慰めようと意気込むと、何も言葉が浮かんでこなかった。階段を下りて行く足音が、焦らせる。
「結、これから時間ある?」
意外なことに、愛の方から話題を振って来た。
「えっ? …あ、うん、大丈夫、だけど…」
その言葉が唐突過ぎて、答えが細切れになる。
「ちょっと、一緒に行きたい所があるの」
「行きたい所…?」
「うん。…零泉に片思いしてた頃に、零泉とよく行った喫茶店。『ドールドルチェ』って所なんだけど…知ってる?」
「…うん、まぁ…ね…」
愛が自分の傷をえぐってしまわないかと、不安で仕方なかった。わざわざそんな所に私と二人で行きたいと言った愛の気持ちが、この時の私には全く分からなかった。