ラブ&ロイド
「結…どうしたの…?」

外まで一目散に走ったからだろうか、私も愛も、息が荒れていた。

「ねぇ、結…」

心配そうな顔をする愛。だけど、私はこれでよかったのだ、としか思えなかった。

「…愛は、ここにいちゃダメだよ…」
「何で…?」
「ここにいたら…零泉のこと思い出して、また泣いちゃうでしょ…?」

あの時、愛の目は涙でいっぱいだった。もう、あんな愛の顔は見たくなかった。

「…そうかもしれないけど、だからって外にまで出なくても…」
「泣いて欲しくないの!」

今度は、私が泣いていた。

「蛍とも葵とも仲が悪くなっちゃったし、思いだしたらまた悲しくなっちゃうし…もう関係のあるものとかとは全部縁切って、忘れた方がいいんだって! …愛だって、忘れたかったんでしょ?」
「…」

愛は黙ってその場にうつむいていた。でもやがて、口を開いた。

「…ゴメン。ちょっと、一人にさせて…」

その場から逃げるように立ち去った愛を追いかけることなんて、できるはずもなかった。

「…」

気がつけば私は、一人だった。

「…」

地面が、点々と濡れ出す。

「…うぅっ…!」

今日で、三人も友達を失った。その事実だけで、私が嗚咽するのには十分だった。
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