ラブ&ロイド
「…何で…何でこうなるの…!」

私はいつもこうだった。

中学生の頃も、同じように恋愛関係で言い合いになって失った友達は数多くいた。そのたびに私は何かを学んだはずだった。

でも、今日もまた、その時と同じように友達を失った。私は、何も学んでいなかったのだ。

「…もう嫌だよ…」

…その呟きを、聞いてくれていた人がいた。

「大丈夫だ」

後ろから回された腕。私の通っている高校の制服だけど、男子のものだった。そしてその声にも、確かな記憶があった。

「あの三人は、本気で嫌ったわけじゃない。感情は読み取った」

颯だった。

「…颯…」
「明日…とはいかないが、三日も経てば仲直りできるはずだ。だから心配するな」

私を抱きしめていた颯の腕が少し動き、その右手は私の頭をなでていた。

「…あったかい…」

颯には、体温があるような気がした。無表情な颯だけど、ぬくもりがあるような気がした。

「ある程度中を温めておかないと、体が動かなくなる。案外、機械は人間より繊細だ」

そんな理由でもよかった。その温かさがあるだけで、私はいくらか救われていた。

「颯」
「何だ?」
「今までは隠れたり、バラバラになったりして登下校してたけど…これからは、一緒にいてくれない?」
「ああ」

颯が私を放してから手を繋いで歩き出すまでに、時間はかからなかった。
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