ラブ&ロイド
「ただいま」

いつものように、私のお父さん・三鷹巧(ミタカ・タクミ)が帰って来た。

「おかえり~」
「おかえり」

私と、私のお母さん・三鷹澪(ミタカ・ミオ)が声で迎えると、お父さんはカバンからマニュアルのような冊子を取り出した。

「何、それ?」
「実はだな…」

表紙に顔を近づける。そこには、「アンドロイド『五嶋颯』の試験運用について」と書かれてあった。

「…アンドロイド?」
「ああ。研究所で、ついにアンドロイドの試作機が完成したんだ」
「嘘!?」

お父さんの言葉に、私は耳を疑った。

お父さんは日本先端科学研究所という研究施設の職員をしているのだが、そこで数年前からアンドロイドの制作に取り組んでいた。「完成すればノーベル賞モノ」と言われるアンドロイドを…お父さん達が、完成させたというのだ。

「ただし、これはあくまでも試作機で、この一般社会で過ごしていけるかどうかが分からないんだ。だから職員の何人かの家で、そのアンドロイドを住まわせてみる、ということにしたんだが…」

その後の言葉は、何となく予想できた。

「その中の一つが…ウチになったってこと?」
「そうだ。…実はもう、家の前まで連れて来てるんだ」
「面白そうじゃない! ね~、結?」
「うん! お父さん、早く入れて!」

自分の父親の成した快挙に舞い上がっていた私は、あたかも子供のようだった。

「分かった。…じゃあ、玄関まで来てくれ。出迎えは皆でやらないとな」

お父さんがドアを開ける。そして入って来たのは…。
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