ラブ&ロイド
そして迎えた、夜八時。

「ただいま~」

颯の言う通り、お父さんが帰って来た。

「お帰り~」

もう晩ご飯も食べ終わっていた私は、ソファに座ってテレビを見ながらお父さんを迎えた。

「…あのね、お父さん」

ネクタイを緩めるお父さんに話しかける。

「どうした、改まって?」
「えっと…その…」

私が言葉に詰まっていると、颯が後ろで言った。

「俺が研究所に戻るのが嫌だそうです」
「…そうなのか、結?」
「…うん…」
「どうしちゃったのよ、突然?」

食器を洗っていたお母さんも手を止め、話に参加する。

「…何て言ったらいいのかよく分からないんだけど、颯とずっと一緒に過ごしてきて、そのうちにだんだん颯と離れたくないって思ってきて…。それで、頼みたいことがあるんだけど…」
「何だ?」

小さかったあの頃と同じように、頼んでみた。今なら、大丈夫かもしれない。無理だったら無理で…きっとそれまでだ。そうならないように。瞬きと同時に、私は祈った。

「…明日、日曜日でしょ? 研究所、連れて行ってくれない? …直談判したいの。颯を、返したくないって」
「…」

お父さんはしばらく考えた後、再び口を開き、こう言った。
< 25 / 50 >

この作品をシェア

pagetop