ラブ&ロイド
「…それが何を意味するか、分かっていますか?」

六角さんが睨むようにお父さんを見る。

「大方、娘さんの頼みなんでしょうが…」

そして、その視線は私にも注がれる。体が硬直する。

「この研究所の職員として、研究開発のために何としても返却を承認してもらう必要があるのでは? …それに第一、最初に説明をしていたのでは?」
「説明はしました。そしてその時には了承を得ました。…ですが…」
「ですが?」

ここから先は、私の問題だ。とっさに思った私は、一瞬のうちに言葉を考え、口にしていた。

「離れたくないって、そう思ったんです」
「結、静かにしていなさい…」
「私が説明する」

お父さんを振り切り、私は続けた。

「…確かに、最初はただのアンドロイドとしか思っていませんでした。だから、一ヶ月できっぱり別れられるって…そう思ってたんです」

颯の左手を、右手できゅっと握る。

「だけど…」

心拍数が上がる。

「だけど…一緒に過ごしていくうちに、もうただのアンドロイドとは思えなくなっていました。私にとって…特別な存在になったんです」

それが何なのか…。経験のない私でも、その気持ちが何なのか、答えはすぐに見つけられた。

「私は…颯のことを、好きになったんです」
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