ラブ&ロイド
翌日。

「では、溶液の調合まで行って下さい」

三時間目の化学の時間は、電池を作る実験だった。

「颯くん、これどうやって混ぜるの?」
「まずは陰極の方にこれを入れて、これで酸度を測って…」

私、愛、蛍、葵、そして零泉。席の近いこの五人は、実験の班も一緒だった。

「さすが颯」

約束通り、零泉のことは誰にも言っていない。私だけの中に、留めていた。

「よし、では次へ行きます」

くしくも、今教鞭をとっているのは斎遠先生だった。斎遠先生は昨日の私達のことを知っているはずもなく、いつも通り授業を行っている。

「極板に使われる金属は様々ですが、今回は…」

斎遠先生の口が止まる。

「…何だ?」

先生は辺りを見回すが、私達の目には何も怪しい点は見られなかった。

「…三鷹」

隣で零泉がささやく。

「何?」
「…まさかとは思うんだが…」
「どうしたの?」

零泉の口元は、震えていた。

「…火事だ」
「えっ…?」
「恐らく、先生の足元で…火が燃えている」
< 45 / 50 >

この作品をシェア

pagetop