ラブ&ロイド
「…うああああ!」
斎遠先生が叫び声を上げる。黒板前の実験机に隠れて見えなかったが、先生が歩いたおかげで先生の足が見えるようになった。
「…やっぱりそうか…この焦げた臭いは…」
先生の足は…膝上まで炎に包まれていた。
途端に、辺りが悲鳴に包まれた。
「おい、これマジでヤバいって!」
「逃げろ!」
「他の先生呼んで!」
「それより消防車と救急車が先でしょ!」
見ると、炎は黒板の方にまで広がっていた。零泉の予想通り、完全に火事だった。
「結、早く逃げよう!」
愛が手を引き、出口へと向かう。
「う、うん!」
この高校の実験室は廊下の端にあるため、ドアが一つしかない。そこにクラスメート全員、およそ四十人が一斉に詰めかけた。群れの最後尾となってしまった私は、ただ後ろから迫ってくる炎におびえながら、出られるようになるのをひたすらに待った。
「ドア閉めて!」
蛍が叫ぶ。下手にドアを開けていると、どこまで火の手が回るか分からない。バックドラフトという怖い現象もあるけれど、消防隊員の人が来るまでドアを開けなければいいだけの話だ。
「…はぁ、はぁ…」
私の息は、荒れていた。
「大丈夫…?」
隣で同じように息を切らしている零泉に話しかけた…つもりだった。
「えっ…」
零泉は、そこにいなかった。
斎遠先生が叫び声を上げる。黒板前の実験机に隠れて見えなかったが、先生が歩いたおかげで先生の足が見えるようになった。
「…やっぱりそうか…この焦げた臭いは…」
先生の足は…膝上まで炎に包まれていた。
途端に、辺りが悲鳴に包まれた。
「おい、これマジでヤバいって!」
「逃げろ!」
「他の先生呼んで!」
「それより消防車と救急車が先でしょ!」
見ると、炎は黒板の方にまで広がっていた。零泉の予想通り、完全に火事だった。
「結、早く逃げよう!」
愛が手を引き、出口へと向かう。
「う、うん!」
この高校の実験室は廊下の端にあるため、ドアが一つしかない。そこにクラスメート全員、およそ四十人が一斉に詰めかけた。群れの最後尾となってしまった私は、ただ後ろから迫ってくる炎におびえながら、出られるようになるのをひたすらに待った。
「ドア閉めて!」
蛍が叫ぶ。下手にドアを開けていると、どこまで火の手が回るか分からない。バックドラフトという怖い現象もあるけれど、消防隊員の人が来るまでドアを開けなければいいだけの話だ。
「…はぁ、はぁ…」
私の息は、荒れていた。
「大丈夫…?」
隣で同じように息を切らしている零泉に話しかけた…つもりだった。
「えっ…」
零泉は、そこにいなかった。