ラブ&ロイド
夜十時。

「…あのさ…」

部屋の中を見回されるのに危険を感じ、護身のための忠告をする。

「部屋、あんまりジロジロ見ないでくれない…?」

すると、私の目を見た。…ヤバい。アンドロイドだっていうのは分かってても、イケメンすぎて辛い…。

「…そんなに部屋の中見られるのが嫌なのか?」
「う、うん…」

私がそう言うと、顔がますます近くなる。もう、そんなに見ないでよ…。

「…嘘だ」
「えっ?」
「本当は、俺に知られたがっている。そうだろ?」
「なっ…ちょっ、バカじゃないの!?」

そうは言ったものの、確かに知られたいという心はあった。イケメンとの秘密…そう考えただけで、何か楽しそうだ。

「俺はアンドロイドだ。表情から思考内容くらい簡単に読み取れる」
「そっか…。あ、えっと…」
「颯でいい」

何て呼んだらいいか悩んでいるのも読み取られたのか、聞く前から返答が来た。

「…颯」
「何だ?」
「本当に…ここで寝るの?」
「もう充電デバイスはベッドにインストールした。ここでないとむしろ寝られない」
「はぁ…」

私のベッドを使うことを思いついたお父さんが悪いのか、主張を押し通せない私が悪いのか。颯と私が一つ屋根の下で、というかほぼ同じベッドの上で寝るということは、いよいよ本格的に決定したようだ。

「はぁ…」

私のため息にも、颯は表情一つ変えなかった。私は目をそらし、やけに早くベッドに潜った。
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