ラブ&ロイド
「…結」

今日はもう颯との接触をシャットアウトして、寝よう。そう思っていたのに、いざ颯の声で呼ばれると、体が何かを感じたかのようにピクンと動く。

「な、何…?」
「もう寝るのか?」
「う、うん…」

ダメだ、颯の方を向いちゃいけない。そう分かっていても、颯のイケ面を見たいと思う私が、どこかにいた。

「じゃあ、俺も寝るか。明日からは学校だからな」
「…ん?」
「結のいる高校に、五嶋颯という一人の人間として俺が転入することになっている」
「…はいぃぃっ!?」

ベッドから跳ね起き、颯の方を見る。颯を見たい私がにやけそうになるのを抑え、目を見開いた。

「そこまで驚くことでもないはずだが?」
「いやいやいや、びっくりするって! 百歩譲って私の家にいるっていうのはいいとしても、私と同じ高校に通う!? ないないない! それに第一、テスト期間は一ヶ月なんでしょ? 一ヶ月したらいなくなるのに、どうするつもりなの!?」
「問題ない。教員にはすでに連絡されているそうだ」
「そういう問題じゃなくてさ…」

呆れて脱力し再びベッドに横になった所で、颯の腕が私の体に触れた。

「えっ…?」
「安心しろ。生徒にはバレないようにする。結がボロを出さないように、見守ることもあると思うが」

顔が赤くなるのが分からないわけがなかった。元来こういうのに弱い私は、すぐにキュンとしてしまって何もできなくなるのだ。

「…そろそろ寝るか?」
「うん…」

私が答えると、颯は腕を私の体からそっと離し、自分も私の隣に広がった予備ベッドに横になった。
< 6 / 50 >

この作品をシェア

pagetop