ラブ&ロイド
「ジリリリリ…」
「…ん…」

目覚まし時計の音が、私に意識を吹きこむ。もう朝か…。

「ん~…ちょっと待ってよ…」

目を閉じたまま目覚まし時計を手探りで探し、止めようとする。するとその瞬間、耳に響くあの音が止まった。

「ん…?」

そこはかとなく重いまぶたを持ち上げ、目に光を入れる。すると、目覚まし時計を止め、私の顔を見つめる颯がいた。

「わわっ!?」

一瞬、それが颯だとは分からなかった。だけど、昨日の記憶は瞬く間に蘇った。

「…起きたか。いつも通り、のようだな」
「全然いつも通りじゃないって…」

ベッドから起き上がり、髪をわしゃわしゃと掻く。…朝から颯の顔を見て、私の寝顔を見られて、嬉しいやら、恥ずかしいやら…。

「おはよう…」

食卓ではお父さんがコーヒーを飲みながら新聞を読み、お母さんがお弁当を作っている。私以外は、いたって普通の朝だ。

「おはよう、結。颯君、バッテリーの方はどうだ?」

お父さんが新聞から目線を上げ、颯を見る。

「問題ありません。機体への負担も少ないため、充電箇所に適していたと考えます」
「そうか。じゃあ引き続き、あそこを充電箇所として使用してくれ」

颯とお父さんの間で繰り広げられる暗号会話をラジオのように聞き流しながら、私は学校へ行く支度をした。
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