あたし、彼女?
「だから、記念日、成功させたかったらちゃんと仲直りしとけよ?」
「う、うん。わかった。そうだよね! ちゃんと仲直りする!」
コクコクと、何度も頷けば、
「そうそう。そのいきそのいき」
ぐしゃぐしゃと、あたしの頭をかき乱しながら、早沢君は笑った。
あたしは「ちょっとー」と言いながらその手を払いのける。
すると、早沢君が「あ、フラレたー」なんて言って笑って。
さっきまで思い悩んでたのが嘘みたい。
あたしも、笑い返して、早沢君の背中を叩きながら言った。
「ふふふ、ありがとう!でも、部活、そろそろ行かなくて大丈夫?」
「あっ、やべ。俺、そろそろ行くわ。じゃあな」
「うん、頑張って」
「おう!」
手を振る早沢君にあたしも手を振り返した。
『だから、記念日、成功させたかったらちゃんと仲直りしとけよ?』
早沢君の言葉が頭のなかでこだまする。
ドキドキと高鳴る胸に手を当てた。
――…そう。
記念日、とはあたしと飛鳥の二周年記念日。
早沢君が言った“あれ”とは、飛鳥にプレゼントするためのもの。
たしかに。言ったらつまんなくなるよね……
プレゼントとかは、サプライズな感じがいいし。
早沢君、あたまいいなぁ。
なんて思いながらも、飛鳥が来るのを待った。