あたし、彼女?
「く、来るなって言っても……飛鳥がなかなか中庭に来ないから心配して……」
「心配? はっ、そんなん嘘だろ」
なっ……!!
「嘘じゃないよ!?あたし、ずっと待ってて……お昼だって…」
飛鳥と一緒に食べたくて待ってたのに。
あたしがそう言うも、飛鳥は聞く耳持たずでめんどくさそうに溜め息をついて壁に寄り掛かる。
なに、その態度……。
言葉がだんだん小さくなって、喉に何かが詰まったかの様に一言も話せなくなる。
飛鳥の目が冷たい。
すごく怒ってる。
あたし、飛鳥をそこまで怒らせる事したかな……?
ズキズキと胸が痛み出す。
「飛鳥……怒ってるの?」
怒ってるのなら、何に怒ってるのか、教えてよ。
恐る恐るそう聞けば、
「別に何も怒ってねえけど?」
吐き捨てるように飛鳥はそう言った。
「……嘘だ…」
完璧、怒ってんじゃん。
あたし、ずっと飛鳥といたんだよ?飛鳥の機嫌の悪さくらいすぐわかるよ。
「嘘じゃねーし」
「っ、じゃあ、なんで……」
〝じゃあなんであたしの方見てくれないの?〟
目を合わせないのは、飛鳥が不機嫌なときや怒ってる時に見せる癖。
その言葉が出掛けたところで飛鳥の声に遮れる。
「悪いけど……」
ドクン……
心臓が嫌な音を奏でた。
今朝の嫌な胸騒ぎが現実になろうとしてる…?
そんな予感がしてならない。
ビュウッ!!と後ろで風が窓を打ち付けて。
ガタガタっと不吉に窓をならす。