あたし、彼女?
回りの時間だけが、早く進んで、あたしと飛鳥の時間だけが、やけにゆっくりと進んでるような感覚がする。
飛鳥は、なにも言ってくれない。
というか、口を開こうとさえしない。
……あたしに言うことなんて、なにもないってことかな?
伏し目がちに、飛鳥を見上げてみる。
だけど、何を考えているのか。
飛鳥の表情からは読み取れない。
前髪が垂れて、その表情に影を作ってるから余計に。
だけど、それ以前に。
目すら合わなかったことに、あたしは、酷く胸を痛めた。
もう、飛鳥の目にあたしは写らないのかな?
そんなことを思ってしまった。
それから、どれくらいしただろう。
キーンコーンカーンコーン……
授業開始のチャイムがなって。
飛鳥は、あたしに言葉を投げ掛けることもなく、
気付いたら、私の前からいなくなっていた。
それがまた、私を苦しめる。
もう、ダメなんだと。
静かなその場の空気に、そう言われたみたいで、
涙が止まらなくなって、あたしはその場に崩れた。
……その日、あたしと飛鳥は話すこともなければ、顔を合わせることもなかった。