あたし、彼女?
前まではあんなこと、なかったのに。
いつのまにか、飛鳥はよく他の子といるようになってて。
後で何て毎日のように言われることだけど、なれないし、その意味すらわからない。
グスンと、肩を落として教室に入る。
すると、勢いよく二つの影に抱きつかれた。
あたしの友達。
ストレートヘアの姉御肌な佳子ちゃんとふんわり癒し系ガールの紗菜ちゃんだ。
「おはよー、陽菜、なんか暗いぞーっ」
「笑え~笑わないとくすぐるぞー」
ギューーッとサイドから抱きつかれて、
苦しい苦しい苦しい。
抱きつきすぎだよ。
てか、あたし、
「そ、そんな暗い顔してた?」
「「してた!!」」
うおう、まじか。
まあ、原因はさっきのあれだろうけど。
思い出しただけでも、なにかがグッと込み上げてくる。
「もしかして飛鳥君?」
「またなにか言われたの?」
心配そうにあたしをのぞきこむ二人に、あたしは慌てて笑顔をつくって誤魔化した。
中学時代からの仲だから、飛鳥のこともよく相談してて。
きっとそんな二人のことだから。
あたしのこんな嘘、見抜いちゃうんだろうけど。
二人の優しさに、ちょっとだけ嬉しくなった。
「ありがとう……でも、大丈夫だよ!」
にこりと言って笑顔を見せる。
すると二人は心臓の辺りを握りしめて、
「「かわいすぎる……!!」」
……?
どうしたんだろ、二人とも。 なんか顔が赤いけど、熱でもあるのかなあ?