あたし、彼女?




少しだけ、恥ずかしくなって。



「もうっ」と言って早沢君の肩を軽く叩いた。



だけど、昨日とは違って、あたしの胸には不安が積もる。


だって、もしかしたら、あたし達に記念日は訪れないかもしれないから。



「早沢君の好意を無駄にしてしまうかもしれない」

という罪悪感と、


「もし記念日がこなかったら」


そんな不安に、胸に一杯に張り裂けそうになる。



飛鳥……



こんなにも、辛いのは付き合ってはじめてだね。



喧嘩をした日に謝れなかったのも、今回がはじめてだね。




きっと、今。


あたしは辛そうな表情をしてるんだろうな。



今にも泣きそうで、情けないくらいに眉を下げた…―――悲痛の表情。



見せられないし、見せたくない。



だからあたしは、気付かれる前に、自分の席に戻って、顔を腕に埋めるようにして、寝たふりを決め込んだ。



近くで早沢君が


「あれー?居眠り~? もしかして、照れてんの?」



なんて、からかってきたけど。


あたしは「うるさい、もうっ」と言って、聞かなかったように、再び顔を伏せた。




もう、早沢君のバカ。



からかわないでよ。




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