あたし、彼女?
「これからは、俺が、おれ自身の手で陽菜を守る 。もう泣かせない、二度と悲しい思いも辛い思いもさせない」
誰かに頼って、頼んでそうするよりも、よっぽど意味がある。
大切な奴ほど、そうすることにどれだけの意味が伴うだろう。
きっと、計り知れないほどの、大きななにかがたくさん、あるんだろうに。
「もう、お前の手には乗らねえよ」
俺が、そう言うと、元居は顔を真っ赤にさせて。
「……っ、ふざけないで!!」
そう、叫んだ。
ざわざわとしていた回りの人たちが水を打ったように静まり返って。
立ち上がった元居が、俺の胸ぐらを掴み、廊下中に響き渡るほどの大声で叫び続けた。
「なんのために、陽菜ちゃんを脅しに使ったと思ってるの!? 全部全部、飛鳥君に近づきたくてやったことなのに!!」
あ?
「飛鳥君が好きなのに、なのに、あんな……品格の欠片もない、あんな女が飛鳥君の彼女だなんて…認めたくないもの!!不釣り合いよ!!どう見たって、 私の方が飛鳥君に相応しいのにっ!!」
「おい……」
「目障りなのよ。 ムカつくのよ、あの女!! あの女さえいなければ……っ。今すぐにでも消してやるっ!! どんな手を使ってでもこの学校にいれなくしてやるっ!」
「おいっ!お前、なに言って………っ」
「だって、そうでしょう!? 言ったわよね?逆らったらどうなるかって。 わかってるわよね!?! 守る?守れるもんなら守ってみなさいよ!! 飛鳥君があの女を助ける前に私が消してあげ…――!!」
――――――パシンッ!!!!
「―――…!!」
乾いた音が廊下に響いた。
ほんの、一瞬の出来事に、息をするのを忘れ、行き過ぎた元居の言動にたえかねた手が振り上げたまま空で止まる。
シンッと静まり返る廊下で、
俺は目を見開いて。目の前の光景を見ていた。