あたし、彼女?
俺が、叩いた訳じゃない。
「っな……!!!」
俺が、手を出すより早く。元居は叩かれた。
ほんの、一瞬。
そう、野次馬から出てきた人影が、横から入ってきて。
元居と俺を引き剥がすと、思いっきり。
容赦なく、元居の頬に平手を食らわせたのだ。
元居がふらついて床に尻餅をつく。
「………いい加減にして」
ふわりと、その影の髪が揺れて。
香ってきたのは甘い香り。
ひらりとスカートが踊る。
女、子………?
冷たく、低い声が、込み上げてくる怒りを彷彿とさせていた。
「さっきから、聞いてれば…何をいってるの?」
小さな背に、ホワッとした雰囲気からは、想像もできないような、怒りを満ちた低い声が聞こえた。
「ふざけるのも大概にして……っ。 黙って聞いてれば、自分勝手なことばかりじゃない!そんなことして、許されるとでもおもってるの!!?」
叩かれた頬を押さえ、見上げている元居に、ビシッと人差し指を向ける。