あたし、彼女?
「親が会長だか社長だかしんないけどねぇ、していいことと悪いことの分別くらいつけなさいよ!!それともなに!?つけられないわけ!?そんなはず、ないでしょ!!?」
感情が、高ぶってきてるのか、徐々に、大きくなっていくその声に。
野次馬のかずも増えていって。
「何が、飛鳥君が好きだから、よ!!好きなら、好きな人を傷つけるようなことはしない。 好きな人の好きな人を傷つけたり、利用するなんて、もっての他よ!!」
そこまで言うと、彼女ははあっと息を吐いた。
野次馬の中からも「おお……」と、感嘆の声が上がる。
すごい、勢いだった。
男の俺も圧倒されるぐらいに。
肩で息をしながらも、その彼女はまだ続ける。
「そんな当たり前のこともわからないで、私の大切な子を傷付けないで。これ以上、陽菜を傷つけるようなこと言うなら、私、容赦はしないから。 あなたがしてきたこと、許すなんてできないけど。 したくないけど、 まずは謝って。陽菜に。それから飛鳥君に、そして、関わったすべての人に。 不本意かもしれないけど、それはあなたのすべきことよ」
肩にかかった髪をさらっと後ろに払って。
彼女はそういいきった。
ん……あれ、ちょっと待て。
………こいつ、どっかで見たことがある気が。
たしか、陽菜の友達で………
「いい?これ以上、こんなことするなら、これだけじゃ済まさないから」
そういいくわえた彼女は、元居に手を差しのばして。
ためらいがちに伸ばされた元居の手を引いて立ち上がらせた。
それからくるりと、俺の方を向いてくる。