あたし、彼女?






「――飛鳥、好き。大好き…っ」




溢れてきたものすべて、その言葉に込めるようにして言った。




今までで一番、大きな声で。


今までで一番、はっきりとした声で。



飛鳥への気持ちを、空に叫んだ。




「あたしは、飛鳥が一番、世界で誰よりも大好きなの……っ」


だから、どこにも行かないで。



誰もいないことをいいことに、私はそう叫んだ。




――――…その時、



ふわりと誰かに後ろから抱き締められた。




強く優しく抱き締めてくる、腕。



鼻を掠める彼のにおい。


さらさらの髪が私の首筋を擽ってくる。


ドキドキと、早めの鼓動が伝わってきて。


これは、私の鼓動かな?それとも彼の……?



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