あたし、彼女?




飛鳥から全てのことを聞き終えたとき、あたしは泣きそうになって、うつむいていた。



そんなあたしを、飛鳥はひどく落ち込んでいると思ったのか、


「ごめん」と何度も言いながら、私を正面から抱き締め直した。



飛鳥のにおいが胸一杯に広がる。



抱き締められたのも久々で、こんな至近距離になるのも、いつぶりだろう。




ただ今は、飛鳥の温もりに包まれる安心感が、何よりあたしを落ち着かせてくれて。



これ以上に、こんな幸せなところがあるだろうかと、また、別の意味で泣きそうになった。



「飛鳥………」



「ん……?」



「ったしも、ごめん……ごめんねぇ」



素直になれなくて、


飛鳥のこと、わかろうとさえしなかった。




だから、こんなにもすれ違ってしまって。



飛鳥をたくさん傷付けた。



< 75 / 78 >

この作品をシェア

pagetop