あたし、彼女?



「その顔、やべえな」



ふと、唇が離れて、ふっ、と飛鳥の頬が綻んだ。


私の頬もつられるようにして、笑みを作った。



「つーか、お前。ずっと雨ん中いただろ。びしょびしょだぞ」



「あっ、いや…これは」



「ったく。風邪引いたらどうすんだよ」



飛鳥が着ていたブレザーを私の肩にかける。


ふわりと飛鳥の香りが鼻腔をかすめて。


そばにある暖かくて、愛しい温もりに胸がキュンっと締め付けられた。



「陽菜」



「飛鳥…?」



真剣な顔をした飛鳥が、あたしをまっすぐに見つめる。



「俺はもう、お前から離れたりしねえから」



「…………っ!」



「もう泣かせない。傷付けない」



「あす、か……」



「お前を一生守り抜くよ」




まるで、プロポーズみたいだ。



こんな嬉しいこと、他にない。





< 77 / 78 >

この作品をシェア

pagetop