誰にでも優しい上司に困惑


好きにならない
タイプじゃない……なんて思っていた


勘違いするようなことばかりで
私は困惑するばかりで……


それでも少なからず
私の気持ちは初めてと言っていい
前に一歩踏み出そうとしている


前は呆れて見ていた
大智さん目当てのお客さん達
今は大智さんの名前を甘ったるく呼ぶのを聞くだけで、胸が騒つく



一般的にこれを恋や嫉妬という言葉なんだろうが、違う
……違うと思いたい


私には未知の世界だ


今まで誰かに恋をした……なんてない
彼氏はいたけど、好きだなんて言葉に出したこともない



それが今、出そうになる
これはある意味恐怖でしかない



初めて好きになる相手が
女友達が多くて誰にでも優しい顔をする大智さんだなんて……



無理無理っ、と
頭をブンブン振り、振り払った


考えるのはやめよう
今は篠原さんのこと
それと松川さんなことを
ちゃんとしなきゃいけない


近いうちに純也さんに連絡してみようかと考えた

早くこの靄から抜けたい
何も考えたくなかった
< 103 / 137 >

この作品をシェア

pagetop