誰にでも優しい上司に困惑
大智さんが帰ってきたのは
珍しく日付が変わってからだった
大智さんには申し訳ないと思いながらも
私は先に休ませてもらっていた
が、玄関に近い部屋を借りているから
大智さんが帰ってきたのがわかった
コン、コン、
部屋をノックされたが
私は寝たふりをし、無視した
けど、ドアが開く音と
近づいてくる静かな足音
大智さんが近くに来たのがわかった
「ただいま、凛さん」
そう言って私の頭を撫ぜる
大智さんからお酒の匂いはしない
呑まなかったのかな?
そんな事を考えながら
大智さんの手が暖かくて、心地よくて
そのまま眠りについた
大智さんがどんな思いで
私を見ていたかなんて知らずに……
それから大智さんにも純也さんにも
何も聞けないまま1週間が過ぎた
友理ちゃんが仕事復帰した、と聞いた
けど、友理ちゃんに会えていない
毎日のように連絡を取っていたが
ちゃんと顔を見ないと安心できない
顔に傷が残っていたら……と不安に思っていたら、友理ちゃんが純也さんと一緒にアパートに来るという連絡が来た