誰にでも優しい上司に困惑



引っ越せば、こうやって大智さんと食事をするのもなくなるんだ……


そう思ったら、寂しさしかない
大智さんと……離れたくない



そう思っていても
絶対口には出せない


私達は……上司と部下だ




『大智さん……アパートに戻ります』


そう言うと大智さんの動きが止まった


『……い、いつまでも…大智さんのお世話になるわけにはいかないし、……アパートだって、そのままで……埃まみれになってたから、掃除ないと……あ、けど引っ越そうかな?て思ってます。父の家から持って帰った荷物があるから、狭さを感じてましたから……』



言うだけで、辛い
離れたくない気持ちがあるから
自分の気持ちを悟られないように
笑って話せたと思う



「凛さん、アパート探しは俺も手伝うよ?知り合いに不動産屋いるから……そこなら保証人は必要ないからさ」


大智さんが理解してくれて
嬉しくて涙が出そうになる


「女の子の部屋なんだから、なんなら友理も連れて行こう!凛さんが安心して暮らせるために、出来ることはするから」



大智さんは……誰にでも優しい
だから勘違いしたらダメ、
あの日も、ただ
私が不安だったから抱いてくれただけ
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