誰にでも優しい上司に困惑



『せっかくの連休なのに、すみません。純也さんと友理ちゃんまで……日を改めてお礼をさせてくださいね』


そう言っても
大智さんは必要ないって言ってくれる




「明日、何時?」


お風呂上がり、大智さんは聞いてきた


『引越し業者が来るのが11時です。鍵を取りに行くのも、それくらいだから10時半には出ます』



明日の10時半に、私達の同居は解消だ
寂しい……と思うが顔に出さない



「なら、呑むか」



そう言って、大智さんは冷蔵庫から
缶ビールを取り出してくれた



はい、と笑顔で受け取る



大智さんと過ごす時間を大事にしたい
数時間だとしても……



たわいもない話
純也さんと友理ちゃんの話
大智さんの学生時代の話
私のお父さんの話
そして、前にも話した
中古販売の話もした


たくさん笑ったし
たくさん呑んだ



大智さんが笑ってるから
私も自然に笑みがこぼれる



泣き顔見せずに済みそうだ



「結構呑んだな?そろそろやめとくか」


大智さんの言葉で時計を見れば
もう日付が変わっていた
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