誰にでも優しい上司に困惑



本当にこれで終わりなんだ……
連休が明ければ
職場では顔をあわせる


だからサヨナラではない
けど……私にとってはサヨナラだ



そう思ったら、
今までひた隠しにしていた気持ちが露わになる



ビールの缶を片付け、
どうしても部屋に戻りたくなくて
またソファに座ってしまった



「寝ないの?」


不思議そうに大智さんが私に話しかける



『んー……お世話になった部屋だから、なんか離れるってなると寂しくて』



それは嘘ではない
大智さんのアパートは過ごしやすかった



膝を抱えて座っていたら
大智さんが横に座ってくれた



「俺もこの部屋、好きだ。正直、引っ越すの悩んだけど……あいつらがガヤガヤすると隣人に申し訳ないし……」



確かに……
あれだけ友達が多い大智さん
遊びに来れば宴会になる
アパートだから、壁は厚くないだろう



「……寂しいのは俺も一緒」



その言葉に私は大智さんを見る
それはこの部屋を去るからって意味だろう



だけど……
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