誰にでも優しい上司に困惑



引越し業者の人に何号室かを確認し
私はエレベーターに乗り込んだ



引越し業者さんは、まさか聞かれると思わなかったみたいで、唖然としていた



301号室



不動産屋からもらった紙を見れば301と書かれている



内見をしたのは1階だった
何が何だか、わからない
けど301号室を目指した



301号室のドアは開いている
玄関のタタキには靴が1足

その靴は見慣れた靴だ
私も靴を脱ぎ、中へと入った



運んでもらった荷物は
2つの部屋に分かれて置いてあった


リビングへ進むと、家具が疎らにあるだけ、まだ完成していないと言った感じだ




「こんにちはー、片桐さんのお荷物お持ちしました!搬入してよろしいですか?」



作業服の若いお兄さんが玄関先で叫んでいる


「はーい、お願いします」


その声と同時に、ひょいと
ドアから顔を出してきた



「あ、来れたんだ」



私を捉えて、その言葉
私が迷ったのを知ってるようだ



『大智さん、説明してください』


そう詰め寄ると


「うん、説明する。けど、その前に荷物の搬入あるから、終わってからね」


仕方がなく、私は終わるのを待った
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