誰にでも優しい上司に困惑


その日から私達の奇妙な同居生活が始まった
会社の人たちは理解がある人たちばかりで意外と助かる


初めは緊張していた同居生活も
1週間、2週間も過ぎれば慣れたもので


「凛さん、今日の飯はハンバーグがいい」


『なら帰りにスーパー寄らなきゃ、挽肉ないですから』


そんな会話を事務所でしてしまう
細川さんも外崎さんも、何も言わない
社長は嬉しそうに私達を見守っている


篠原さんは私の前に現れない
会社にも来なくなった
車の修理も事務所の車両担当の人から連絡が来るようになった


これなら大丈夫なんじゃないか?と
思って大智さんに相談したけど
「油断禁物」としか返ってこない


私と同居して気がついた
大智さんは仕事終わりに出歩いてない


誘いの電話も断っている
この前、お友達がオイル交換に来た時もそうだった


「大智、最近付き合い悪いなー!今日あたり飲みに行こうぜ?みんな大智に会いたがってるぞ?」


行けばいいのに……
そう思っても大智さんは必ず


「遠慮しとくわ、」


なんだか申し訳なく思ってしまう
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