誰にでも優しい上司に困惑
さすがに痛いのはもう嫌だと思い
とっさに自分の腕で頬をかばった
が、いくら待っても叩かれない
恐る恐る、腕を降ろすと
般若面の手を……大智さんが掴んでいた
大智さんの登場に誰もが驚いた
さっきまでいなかった大智さん
いつ帰ってきたのか、誰も気がつかなかった
大智さんの顔は誰が見ても怒っている
いつも、誰にでも柔らかく話す大智さんが……あ、般若面には違うかっ
「…これは、どういう事?」
それは誰に言ったのか、わからない
誰も答えないでいると
大智さんは般若面の腕から手を離し
私の顎をクイっと横へ向けた
……あ、叩かれたんだ
大智さんは、赤くなった私の頬を確認しているようだった
「……どういうことだ、萌」
大智さんは私の頬から視線を移さず話す
……あ、元カノへの質問か
言いたいことを言ってスッキリした私はどこか冷静になっていた
「えっ……あ、あの……。これは……」
突然話を振られた元カノさんはタジタジだ
まぁ……般若面も悪いが、何も言わない元カノの方が悪いと私は思っていた