強引同期が甘く豹変しました


「だから本当、矢沢さんと同期の永井さんとか中澤さんが羨ましいですー」


何が。どこが羨ましいんだ。


「飲み会とかもよくやってるんですよね?」

「あぁ、まぁ、同期会ってのが月に1、2回とかあるよ。恒例行事みたいなのね」

「いいな、いいなー。私もその同期会、参加してみたいですー」


…本気か。
そもそも小島ちゃん、同期会の意味、わかってないのか?

同期会はそのまんま、うちら同期の会なんだけど。


「うーん、さすがに同期会に小島ちゃんが来るっていうのは他のメンバーにも確認しなきゃだしさ。別で誘ってみたら?普通に、飲みに行きましょーって」

「えーっ⁉︎自分から誘うんですか…絶対緊張して無理なんですけど…」


そう言いながらジーッと私を見つめるのは、この子の作戦なんだろうか。


「恥ずかしいじゃないですかー、っていうか、誘ってもし断られたりしたら、私…会社来れなくなっちゃいます」


潤んだ瞳で、小島ちゃんはこちらを見つめ続けてくる。

…あぁ、面倒くさ。


「だから永井さん!」

「なっ、何」

「永井さんも一緒に行きましょうよ!それだと誘っても自然な流れで行けませんか⁉︎」


はぁ?


「永井さんなら同期だし矢沢さんのこと誘いやすいですよね」


や…何でそうなる?何であいつを誘うのが私になってる。


「いや、私は」

「お願いします永井さーん…。一回だけでいいんで」


本当先輩でも関係なくグイグイくるな、この子は。
すごい根性だ。


「…わかった。言っとく。いつでもいいの?」


とりあえず受け入れなきゃ話が終わらなそうだと思った。


「はい!いつでも!なんなら今日とかでも全然大丈夫です!」

「…うん、オッケー。後で聞いとく」

「本当ありがとうございます!」


だから、結局はこうなってしまった。
ひとまず話を終わらせたくて。

面倒くさいと思いながらも…私は結局、了承してしまったのだった。


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